DTSとは
 DTSは、米国カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジのデジタル・シアター・システムズ社の製品です。劇場映画の音声トラックのデジタル記録再生用に考案されたDTSシステムは、現存するシステムの中でも抜きんでた品質と信頼性を誇っています。

 このDTS方式サラウンド音声が初めて採用されたのは、ユニバーサルの話題作「ジュラシック・パーク」公開の1993年ですが、今日では劇場映画のデジタル音声トラック再生方式の世界標準の地位を占めるようになりました。「ジュラシック・パーク」公開時、DTSを装備した劇場は約900館でしたが、今日では全世界で19,000スクリーンに上っています。

 1993年6月の「ジュラシック・パーク」公開以来、DTSデジタル音声方式で自作を公開した主要製作スタジオは12社、1999年までで、長編映画の本数にして800本を越えます。この12 社は、ユニバーサル、アンブリン・エンターテインメント、MGM、パラマウント、ミラマックス、ワーナー・ブラザーズ、キャッスルロック・ピクチャーズ、20世紀フォックス、サボイ、ニューライン・シネマ、コロンビア・ピクチャーズ、ブエナ・ビスタ・ピクチャーズの各社です。2000年現在、北米では、ドリームワークス、MGM/UA、ニューライン、ユニバーサル、ワーナーブラザースの作品はすべて、DTS音声付で公開されています。この動きはハリウッドにとどまらず、インド,東アジア、ヨーロッパでも、DTSでの製作配給を選ぶ映画関係者が増えてきました。

 DTS方式上映作は、米国では約6400館、アジア・オセアニア地域でも2,000館のDTS再生システム装備館で上映されています。DTSの優れた音質と信頼性が人気を呼び、設置する映画館は増えています。欧米では、どこでもどんな映画でも、高品質デジタル音声で見られるようになる日も遠くありません。「DTSデジタル・エクスペリエンス」のロゴは、今では40カ国以上の映画館で、本編上映前のスクリーンに大きく登場します。




DTS方式について
 DTSデジタル・サウンドトラックは、フィルムそのものではなく、別個にCD-ROMディスクに記録されている点が、他のデジタル音声システムと大きく異なっています。CD-ROM2枚に、最大8チャンネルのデジタルサウンドを3時間半記録できます。外付のCD-ROMプレーヤーでこのCD-ROMを映画フィルムの映像フレームと同期再生しますが、そのために光学サウンドトラックの間に独自方式の光学タイムコードを焼き付けます。優れたデジタルサウンドをディスクリート6チャンネルの形で精密に同期再生し、劇場の従来もっているサウンド・システムを通して再生できるのです。

 CD-ROMには、APT-X100方式で圧縮して6チャンネルのデジタル・オーディオ情報を記録します。44.1kHzサンプリング、16ビットの分解能をもつディスクリートのチャンネルが、1/4に圧縮されています。音声は、従来型の6トラック・アナログまたはデジタルのサウンドマスターから、エンコード。6トラックは通常、左、中央、右、左サラウンド、右サラウンドならびにサブウーファーという配置をとり、5本の主チャンネルでは20Hzから20kHzの帯域、サブウーファーでは20Hzから80Hzの帯域を再生します。

 映画館におけるDTSの再生システムは完全に自動化され、誤作動が予防されています。開始、停止、フィルムの切れ目や切り替え時のトラッキングも自動的に行われます。フィルムをDTSタイムコード・リーダーのヘッドに通し、CD-ROMをプレーヤーにかけます。こうして映写される映画のフレームに合った正しい音声が自動的に再生されます。DTSオーディオ再生装置が、フィルム上のタイムコードに同期しない場合、システムは自動的にSRまたはAタイプの従来型光学ステレオ・サウンドトラックに切り替わります。同期が回復すると、再びディスクリート・デジタル音声再生に切り替わります。




DTSのユニークな特徴
 他に類を見ないオーディオ品質。APT-X100デジタル音声リダクション・アルゴリズムを採用し、ゆるやかな4:1の圧縮で、44.1kHzで作動するプロフェッショナルな音質を実現しました。

 タイムコードはフィルム上の十分に保護された部分にあるため極めて頑丈で、上映フィルムをどんなに長く使っても、デジタル音声トラックが劣化することがありません。

 タイムコード・トラックは、18ミリから70ミリまでの様々なフィルム形式に対応します。プリントや読み取りも簡単です。

 音声は映像フィルムから分離独立しているため、DTSシステムで再生できるオーディオ・トラックの数には、制約がありません。特別な設定の会場では、8チャンネルまたはそれ以上のマルチチャンネル再生もが可能です。

 DTSシステムは、音声が分離独立しているため、CD-ROMを変えれば、1本の映画プリントに対して様々な言語バージョンでの再生が可能です。これは他のシステムには真似できない利点と言えます。

 またDTSは、映画館を訪れる目の不自由な人たちのために、レシーバー付きのヘッドセットを使って、捕捉ナレーション用サウンドトラックを提供することもできます。